掲載日:2014年5月10日
「痛いの 痛いの 飛んで行け」。小さな子どもが転んだりして痛みを訴えたとき、痛い個所をさすりながら励ます呪文のようなものがありました。「子供だまし」とか「迷信」と思われがちですが、痛みのある周辺の筋肉を動かすため、血管の血液の流れを促し、うっ血など血流の異常症状を緩和する効果が医学界では知られています。少年期になりけがなどで痛みを訴えると、一転、「男のくせにだらしない」などと今度は我慢を強いられます。
しかし、痛みは動物にとって最も耐え難いものです。体を切り開く手術の際の痛みを止めるには麻酔をかけ、また歯痛には飲み薬などがよく知られています。30年ほど前からは痛み(英語でペイン)、特に慢性痛専門の治療する「ペインクリニック」という新たな分野が開発されました。具体的にはリハビリや鍼(はり)、痛みの伝わる経路をブロックする「神経ブロック」、血流を良くすることで凝りをとり、さらに自然治癒に持っていく方法などがあります。
高知大学医学部では、精神的なストレスが痛みを増幅するのではないかとの研究が進められています。人の痛みは心のストレスで強くなるようです。例えば自動車の追突事故です。停車中に追突された場合、痛みが激しくなるのです。「自分はまったく悪くないのに」との気持ちがストレスとなり、痛みが長く続く場合があると言います。生活環境の変化も人にストレスを与え、痛みを増すようです。ある70歳代の女性は、腰痛(腰部変形性脊椎症)を患ってからは家事を夫に任せていました。なかなか痛みが取れませんでしたが、夫への依存を減らし家事も少しずつ行うようになると、痛みが和らいだそうです。「体を動かすこと、また、家事を再開したことで自信がつき、ストレスが少なくなったことが大きい」と医師は言います。
人と一緒で一夫一婦制を営み、互いに協力して子育てをする高い社会性をもつネズミは パートナーを失うと、不安症状を示し、実験的に足を傷つけたところ、炎症性の痛みが持続することが分かったそうです。高知大では今、「痛みを抑えるシステム」を解明中とのことです。痛みのメカニズムが分かれば、痛みに苦しむ何百万人もの患者が救われます。
ここで皆さんに身近な簡単な例を挙げます。関係する方はぜひ実行してほしいと思います。夫婦で一緒に寝室をともにすることで健康が増進するそうです。これは医療の関係者でなくても何となく分かるような気がしますが、胃の働きも良くなるとのデータもあるそうです。医者でない私は、だれも皆が仲良くしていれば幸せになれる、と拡大解釈してもいいのではないでしょうか。
(2014年5月)