高知新聞社会福祉事業団 軽費老人ホームA型 軽費老人ホームA型 あかねの里

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掲載日:2016年12月11日

名乗り出た伊達直人

 漫画「タイガーマスク」の主人公・伊達直人の名を借り、全国の児童養護施設に相次いでランドセルが届けられた社会現象の発端になったとされる男性がこの7日、名乗り出ました。前橋市に住む43歳の男性会社員です。現象の発端は2010年12月、この男性から前橋市の児童相談所に「子どものために使ってください」と新品ランドセル10個が送られてきたことからです。この男性は幼少のころ家庭的に恵まれなかったことからのプレゼントで、6年経てからの名乗りに「今、子どもの環境はさらに悪くなってきている。名乗ることで社会的養護を再認識してもらいたかった」と話しています。

 福祉施設は世の中の多くの善意に支えられ、励まされていることが、施設で働いているとよくわかります。何かの行事の際はボランティアがたくさん来てくださいます。また、「家庭菜園で作った」と給食の材料、テレビが古くなったことをどこで知られたか新品のテレビ、さらに毎年冬至に合わせて風呂に浮かべる縁起物のユズをいただいております。

 今日11日は高知県の調理師連合会、日本中国料理協会県支部、全日本司厨士協会県本部の3調理団体が協力し、利用者のために「クリスマス交流会」を開いてくださいました。この3つの団体は毎年4月と12月に県内の福祉施設を訪れ、ご馳走を振る舞っており、かれこれ30年になると言います。来訪が決まってから利用者は「プロが作るのやし、給食の100倍くらいはおいしいだろうね」と期待、「当日はどんな服装が良いの?」などとご馳走に合わせた服装にも気を配っていました。そんな発言を聞いた職員が、知人の介護美容の専門家に相談し、パーティー前にお2人がメイクに駆けつけてくださいました。

 調理師の皆さんが冒頭に「歓談しながら味わってください」と心を配りながらの挨拶でしたが、やはりややフォーマルな食事とあって緊張気味です。しかし、時間とともに「これは何と言う料理」などとの質問も飛び出し、食事も進みました。食後の「やはりプロは違うね」との感嘆に私たちの調理職員はがっかりするのか、発奮するのか。

 高知県の施設は、まだまだ善意は引き続いていると感じます。しかし、伊達直人さんではないのですが、全国的に見てこのところ善意の広がりが以前ほどではなくなったのかなとも感じます。景気が回復しないこともその大きな理由でしょう。経済の陰りが影響しているわけではないでしょうが、人の気持ちも閉塞的になっているとも思えます。

 東日本大震災以来、「きずな」と言う言葉が浮上し、「きずな学」も進んでいます。高知県はこの「きずな」がまだ残っていると考えますが、このきずなの永続性が福祉にとどまらず今後の社会の永続につながると考えます。

 暮れに善意が増えるのは1年間無事だったことの感謝と来年の多幸を願う気持ちのおすそ分けかと思われます。皆さま方のこの気持ちに沿い、利用者の幸を求めていきたいと考えます。調理3団体の皆さま、今日は遠路はるばる本当にありがとうございました。調理職員が頑張る動機づけができたこともうれしいです。そして今年もこの一年、施設を守ってくださいました善意の皆さま方、ありがとうございました。

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