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掲載日:2017年10月16日

古新聞で豊かな暮らし

 本格的な秋となり、通勤路のあちこちには野ギクやコスモスなど赤、青、黄色の花が盛りで目を楽しませています。JR沿線には一段と背の高い黄色いセイタカアワダチソウが満開を迎えています。繁殖力が旺盛な帰化植物で在来の山野草を滅ぼす、また花粉症の原因になるとも言われ(スギのような風媒花ではなく虫媒花ですからさほどの被害はないのでしょうが)、嫌われ者的な存在でした。最近ではその勢いも陰りを見せているようで、あちこちに一握りの群生があるだけです。

 アワダチソウの濡れ衣に近いものが古新聞にもありそうです、「読んだ後の処理に困る」と。昨日から始まった新聞週間(21日まで)にちなんで先だっては新聞を読むヒントの話をしましたが、今回は役立つ古新聞について古き良き時代をしのびながら記したいと思います、「立派な生活資源として、再利用資源として」。まずは「洟(はな)紙」。風邪を引いた折りなど洟をかむためのものです。もう死語になっているようで、今ではティッシュペーパーと言われます。新聞1ページ分を半分に切り、さらにまた半分に切るとA4版ほどの紙が4枚となり、洟をかむ適度な大きさです。また新聞紙にはインキ(インキは印刷業界用語、インクは筆記用との違いがあります)が含まれていますから、靴磨きやガラス拭き(本日高知新聞朝刊6面にも掲載)に用いるとピカピカになります。靴と言えば、濡れた折に新聞を丸めて入れておけば新聞が湿気を吸い取り、乾きが早くなります。靴のカビ防止に靴箱に敷いておく手もあります。逆に野菜類は新聞で包むと乾燥が防げます。

 「落とし紙」、今の言葉でのトイレットペーパーです。小さく切った新聞をトイレに準備し用が足されたら、破れないように静かに両手でほぐし柔らかくしお尻をふきます。これはウソかマコトか知りませんが、「読んで楽しい高知新聞、ふいても付かない高知新聞」とのキャッチフレーズがあったと大先輩から聞いたことがあります。たとえ事実でも、戦後間もない、紙に不自由していたころ、洟をふいた後に鼻の周りが黒くなっている子ども(自分を含めて)を自然に見かけていましたから、これは洟紙の方でしょう。当時の印刷技術ではインキの乗りが悪く、読んでいても手が黒く汚れたものです。なお、今の新聞用インキは安全面を考えて大豆から作られています。

 子どもの習字の練習にも重宝します。新聞紙の表も裏も真っ黒くなるまで書き続け、腕を上げた方も多いかと思います。また折り紙用紙の代用にもなり、動物や花などを親子で折るのも秋の夜長に楽しいものです。エコが叫ばれる最近ではエコバック、簡易スリッパ、小さなゴミ入れなどにも新聞が生かされています。災害時には炊き出し用の着火補助剤、新聞1部を背中や胸に入れて寒さをしのぐ補助衣服、また新聞1部をバトンのように丸めて、これを連結して並べると簡易ベッドが出来上がるなど用途は広がっています。

 古新聞は一つアイデアを凝らし再利用すると、豊かな暮らしが広がります。「一粒で二度おいしい」とのキャッチフレーズによって、キャラメルが爆発的な売り上げにつながった話は有名です。しかし、「読んで楽しい高知新聞 ふいても付かない高知新聞」のコピーのほうが、身びいきかもしれませんが一枚上と感じます。新聞を再利用して代用品を生かしいく、不況な世での賢い知恵でもあります。

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