高知新聞社会福祉事業団 軽費老人ホームA型 軽費老人ホームA型 あかねの里

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掲載日:2017年10月25日

病と闘い投げ続ける

 プロ野球セリーグのクライマックスシリーズはシーズン3位のDeNAがペナントレースを制した広島を下し、あとはパリーグの覇者ソフトバンクと日本一を争うことになりました。明日26日にはドラフト会議も開かれる予定で、高校通算ホームラン数を塗り替えた早稲田実業高の清宮選手をどの球団が獲得するか、夏の甲子園を沸かした広島広陵高の中村選手は相思相愛の広島に進むのか興味津々です。プロ球界に入る選手もいれば、去る選手もいます、また他のチームに移る選手もいます。阪神の岩田稔投手(33)の今後の行く末が気になります。今年の成績は3勝2敗でした。昨年は1勝もできなかった訳ですから復活したと見ることはできるのですが…。

 岩田投手は関西大学卒業後に入団して12年目、1型糖尿病と闘いながらマウンドに立っています。1型糖尿病は、ウイルス性感染によるすい臓の細胞が壊れ、血液中の血糖の量を調整するインスリンが分泌されなくなってしまう病気で、子どものころの発症が多いのが特徴です。患者数は過食、運動不足、ストレスなどの生活習慣によって発症する「2型糖尿病」の5%程度です。大阪桐蔭高校でエースとして活躍していた2年生の冬、風邪によるウイルス感染から発症、インスリンを体外から補給しないと命にかかわるため、1日4、5回のインスリン注射は欠かせません。

 高校卒業後は社会人野球チームに入る予定でしたが、糖尿病の影響で入社が白紙に戻されたこともあり、1型糖尿病の子どもたちが幼稚園などに入園を拒否されている問題では、糖尿病の理解を求めるため積極的な活動を展開(ちなみに「やらな、しゃーない! 1型糖尿病と不屈の左腕」を出版)。また、1勝する度に10万円を糖尿病研究のために寄付、糖尿病を患う子どもたちを激励するため球場に招待し続けています。

 私たちの施設には入所してから糖尿病になった方がいます。自らインスリン注射を打ちながら食事に気をつけ、運動に努め、生活しています。筋肉の難病の方もいます。服薬とリハビリで病気と闘いながら元気です。病気を公言しなければ、病気のことはまったく分からないくらいごく自然に生活しています。しかし、難病を患っている人の受け入れは利用者が1年365日、1日24時間を通して生活し、休日・夜間は職員数が少ないことなどを考えれば、施設では学校や企業以上に受け入れに躊躇することも考えられます。そういった点では入団への道を開いた阪神は見習うべきであり、期待に応えた岩田選手も敬服に値します。

 糖尿病だけでなく、以前なら入院治療が絶対でした呼吸器の病気も今は自宅での酸素療法が可能となり、がんの手術で直腸や肛門を切除した場合も、人工肛門を利用して職場復帰している人も多いのです。障害のある人も新たな補装具の開発で行動範囲が格段に広がりつつあります。さらに精神的な疾患は服薬の管理が十分、いわゆる定められた日時に定められた量の薬を確実に服用できるならば、多くの人で日常生活に支障はないと言われています。人手のある施設では薬の管理は可能ですから、アパートなどでの独居生活よりも平穏な生活が送られます。阪神も岩田選手も用意周到の中、プロで活躍できると判断できたのでしょう。私たちも希望者、家族などとも協力、前進したいものです。

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