高知新聞社会福祉事業団 軽費老人ホームA型 軽費老人ホームA型 あかねの里

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掲載日:2017年11月1日

利用者肥える秋

 昨日10月31日は「ハロウィンケーキ」が夕食後のデザートに出されました。この5年くらいでしょうか、ハロウィンは若者を中心に国民に親しまれるようになりましたが、「利用者にも新しい楽しみを」と調理のメンバーが初めて企画したのです。ホイップクリームの上にカボチャペーストをたっぷりあしらい、ビスケットとカステラをさらにトッピング、アクセントは小さなクッキーとヒマワリの種です。カップもハロウィンのイラストを描いたもので、見ているだけでも楽しくなります。もっと楽しくなるのは利用者がニコニコしながら口に運んでいる姿です。「ハロウィンは分からないが、おいしいものが食べられる機会が増えたのはいい」との感想も言い得て妙です。

 この時節まさに「天高く馬肥える秋」。動物は冬の寒さに対応するために太らなければなりません。幸いにして実りの秋で、えさとなるおいしい物がいっぱいあります。人も冬に備えるのは同じでしょう。馬をもじるのは失礼かとも思いますが、調理員には「利用者肥える秋で行きましょう」と発破をかけています。

 さて、新米のおいしい時季でもあります。給食に新米を出していますが、利用者からは「新米の香りが少ししかしない」との声がありました。私もいただきましたが、同感でした。多分、年齢のせいで味覚が落ちたとも思いましたが、自宅のコメはおいしく感じました。妻に聞くと価格もそれなりに高いものでした。高齢者にとってコメは大好きな食べ物の一つで、「おいしい新米があれば、あとはみそ汁と漬け物だけでもいい」との要望もありました。栄養のバランスを考えるとそうも行きませんし、また施設の給食費は限られたものがありますから調理員は苦悩します。でも、そこは諦める彼らではありません。「もち米を混ぜる」ことを実行しました。栄養士の提言です。発案したのか、どこかで学んだのかは聞いていませんが、もう関係ありません。1升当たりに1合のもち米を混ぜるのです。利用者から今度は「今日のコメはおいしい。新米の香りが鼻に届く」と好評でした。もち米1合分の費用は利用者の喜びからすると微々たるものです。それまでは1食につき2升1合炊いていましたが、今は2升3合炊いています。この費用も取るに足らないもので、冬に向けて肥える準備ができました。

 また、少しも気づかなかったのですが、カレーライスに最近、ターメリックを混ぜているそうです。ターメリックは簡単に言えばウコンです。含まれるクルクミンという成分が生活習慣病や認知症の予防効果があると言われ、テレビなどでは「インドで認知症が少ないのはカレーをよく食べるから」と紹介されています。また、スパイシーな芳香があることから食欲を増進させます。カレーの時は利用者の欠食が少なくなり、「私は食が細いが、カレーならかなり食べられる」との証言通り、コメはいつもの50%増しの3升あまり炊いています。こちらも利用者の喜びに代えられないもので、費用は取るに足らない、冬に向けて肥える準備ができました。

 外出機会の少ない利用者にとって食べる喜びは最も大きいもので、栄養士、調理員のおいしく食べてもらう工夫はまだまだ続きます。利用者は朝夕に運動に努めていますからBMI(肥満度指数)が上がることはないと思いますが、ひょっとしたらとの取りこし苦労も味わってみたい気がします。

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