高知新聞社会福祉事業団 軽費老人ホームA型 軽費老人ホームA型 あかねの里

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掲載日:2017年11月26日

俳句の楽しみ

 「入学試験」は春の季語ですが、大学入学センター試験の出願は既に9月、10月に行われ、私立大の推薦入試の出願が今月11月から始まりました。入学試験のイメージは冬となっていましたが、さらに秋へと前倒しになっています。また、雲海は夏の季語ですが、天候の条件が整えば飛行機の中から雲海はほぼ一年中見ることができますから、飛行中の季語としてふさわしくないとの考えもあります。利用者対象に俳句教室を開いてから1年7カ月、世話役をしていると時季だけでなく場所によっても季語は変わるのかな、と不思議な気分です。さらに嬉しいことは新たな言葉、新たに自然や行事、生活を知ることができることです。

 初冬や冬めく、初時雨、初霜、七五三、勤労感謝の日などは分かりやすく、使いやすいですね。11月の異名の神無月は、全国の神様が島根県の出雲大社で1年に1回の年次総会を開くため地元にいなくなることからで、神の留守、神の旅も季語です。風邪やインフルエンザなど感染症もこの時節に多発します。風邪も季語で、「風邪は万病のもと」とも言われ、いろいろな病気を併発します。健康に気をつけてこの冬を乗り切ってください。文学にまつわる人の死出の日も「○○忌」などとの季語になりますが、11月は達磨、芭蕉、一茶、蕪村などで「貧すれば鈍の一茶の忌なりけり」(久保田万太郎)の句もあります。旧暦11月は新暦では12月以降ごろに当たり、寒さも応え、なくなる人も多くなるのでしょうか。

 植物では山茶花(さざんか)、柊(ひいらぎ)の花、八つ手の花などがあり、山茶花は童謡「たきび」の「さざんか さざんか 咲いた道」も連想させ、南国高知も秋が来たとしみじみ感じます。動物では鹿や猪、渡り鳥などですが、秋にはいろいろな動物が食べ物を求めて人里に来て句作の対象になっていたのかなと思いますが、今は有害鳥獣として駆除の対象にもなっていますね。何だかゆとりがなくなってきたかのような世です。

 茶道の世界の炉開きとなると風雅とともに最近のはやり言葉「おもてなし」も感じます。夏季にお湯を沸かすのが風炉で、冬季には炉を用います。風炉は客人から離れた隅に置かれ客人に暑さを感じさせません。一方、炉はいろりのように客室中央にしつらわれ、客人の心も温めてくれます。秋になりこの炉を使い始めるのが炉開き。口切りとの季語は、新茶を入れて目張りしていた茶壺の封を切ることで、荘厳さを感じます。炉開きにはこの新茶が出され、茶人ではないのですが炉開き一度味わいたいと季語を見ただけでもわくわくします。

 お茶だけでは腹が満ちません。食欲の秋、実りの秋で食欲をそそる季語もいっぱいあります。新そば、とろろ汁、新海苔、切干、 浅漬、ギンナン、しいの実などなど。飲んべえには新酒もあります。季節の食材は舌だけでなく、目にも鼻にもおいしいものです。俳句教室の皆さんには季語をヒントに食べたい料理を調理員に注文してほしいとも言っています。

 句作に喜びを持つ人も現れて講評もつば競り合いです。俳句や川柳はベッドの中でも一生作れますから、退所しても添削であかねの里とつながりが続くとの意味合いからも始めました。いやー、将来が楽しみです。

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