高知新聞社会福祉事業団 軽費老人ホームA型 軽費老人ホームA型 あかねの里

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掲載日:2018年1月4日

科学が作る高齢者の夢

 明日は小寒。通勤の道すがら真っ白な霜が田んぼの稲の切り株に降りていました。気温はやや低いものの、風もなく高い青空が広がっていました。正月の新聞各紙を見ますと、お正月らしい夢のある話、しかも高齢者を励ます記事が幾つかありましたのでご紹介します。

 まず、後期高齢者ならぬ「高貴高齢者」との言葉を見つけました。75歳の主婦からの投稿欄です。その内容として「あらゆる争いを避けたい」とありました。争いになってしまったら、相手の非を責める前に自分の非を考えたいとし、老いて争うなどこっけいで知恵が欠けていると展開。そして、争えば勝ちはなく、双方が負けになるような気がすると結んでいました。百何十ページもある新聞、計5紙の中からこんな小さな記事をよく見つけることが出来た、何か宝物を探し当てた昂ぶった感じがしました。文章は飾りがなく、すごく分かりやすく、すごく正論だったことも嬉しさを倍加させました。だれもがこんな感じで他人に優しく、心にゆとりがあれば、経済が困窮し、絆が乏しくなった社会にも、再び絆が取り戻せるのではと思いました。まずは施設の利用者にこの話を伝え、合わせて身なりもいつも小ぎれいにし、誰にも好かれる高貴高齢者にと期待を掛けました。

 次は昨今、マスコミがこぞって取り上げる「AI(Artificial Intelligence=人工知能)」です。AIの研究や開発は世界中で加速し、昨年はトップ棋士がAIに負けたとの報道もありました。今後、運転者がいない車の自動運転(正月らしい夢としては、運転をAIに任せ車の中で宴会をしながら東京までの往復です)、外国語が分からなくても世界中の人々と会議ができる自動翻訳機、またAIの秘書や医師の誕生も期待されています。福祉分野でも、介護保険サービスの利用計画をケアマネージャーに代わりAIで作成する実証実験が愛知県豊橋市で行われていると今朝の新聞に報道されました。

 あらためて紹介したいのが、AIと連動したカプセルのような小さなICチップを飲み込むと、白血球や赤血球、中性脂肪…など患者の体内からの必要な情報が瞬時に発信され、医師の的確な診療や投薬に大きく寄与、さらに人の寿命は長くなるといいます。また、数十年を要することもある新薬開発もAIを活用、莫大な化学物質のデータベースの中から、狙った効果を出す物質の組み合わせを短い時間に探り当てることも可能になると記しています。筑波大大学院の山海嘉之教授らが開発した人に装着するロボットスーツも夢があふれます。体内の微弱な神経信号を読み取り、モーターで体の動きを補助する仕組みで身体機能が低下した人の動きをアシスト、既に多くの場面で活用されています。今後ますます軽量化、小型化され、誰もが入手できる価格となれば、手足が不自由な人の生き方も大きく改善されます。

 人が富んでも、文明が進んでも、人の幸福感はしぼんでいき、科学も否定されることがある昨今。「がんも間もなく不治の病でなくなります。病院に行かなくてもチップを飲むと病院から診断結果がすぐ来ます。動かなかった手も動くようになります。それまでは長生きして」などと利用者を生きがいに導く夢を語ったものでした。

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