高知新聞社会福祉事業団 軽費老人ホームA型 軽費老人ホームA型 あかねの里

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掲載日:2018年1月11日

給食 飽くなき挑戦

 利用者さん、職員、施設について、毎年この時期になるとしなければならないこと、望むことを大なり小なり考えます。職員もこの一年の自らの決意、課題を考えてくれ、取り組みへの悩みも持っています。悩みは取りも直さず仕事への向上心をもたらします。ソクラテスもプラトンも、ニーチェもサルトルも、みんな悩んで大きくなりました。今風に言うと「こんな自分のままじゃいけないって 頭を抱えてるそんな自分のままで行けよ」との歌を引用したほうが分かりやすいのかもしれません。職員も悩んで大物になると信じます。

 栄養士の献立の悩みです。まず利用者が食べたいものと、利用者に食べてもらいたいものとが必ずしも一致しないことです。栄養士は健康に良い、栄養価の高い食材を選び、味つけもカロリーや塩分のバランスを考えます。一方、利用者はメニューが好まない食材だったり、味つけが嫌だったりすることがあります。例えば、サツマイモは食物繊維、ビタミンC、カリウムなどが豊富で、便秘の予防や解消、過剰な塩分や糖分の体外排出の機能から高血圧や糖尿病にも良いと判断し提供するのですが、「サツマイモは甘くておやつ感覚だ」「もう食べ飽きた」との不平が出ます。

 味つけとなると賛否が分かれることも悩みです。酢は好きな人もいれば、嫌いな人もいる、どちらでもいい派も多いのですが、カレーはさらに好悪が分かれます。いや、誰もが好きなみそ汁でも「もっと薄味にして」「もっと辛くして」と分かれます。そして「○○のみそを使って」となると、もう和食の奥深さに当惑もします。結局、最大公約数的に無難なものに献立は落ち着きますが、マンネリ化に陥ります。時間や手間を要すなど新しい献立への挑戦は、調理員は分かっていますから気持ちよくこなしてくれていますが、利用者の新しいメニューへの挑戦は今一つ。ここでも好奇心の醸成を呼びかけ、食べてもらわなければ効果を発揮できませんし、評価もできず次への挑戦も踏みとどまりがち。調理員の負担を考えつつもまだ歩を進めます。

 この正月も一歩を踏み出しました。暮れから正月にかけて栄養士と調理師は残業続き、1日は早朝5時からの出勤者もいました。職員手作りのお節を利用者に食べていただくための最後の盛り付けなどです。職員の労務負担からお節を出す施設も外注が増える傾向にありますが、私たちの施設はこのところ自前です。過去には外注もあったのですが、お餅が水っぽかったり、煮豆がやや硬かったりで、「せっかくのお節だし、おいしく食べてもらいたい」との心意気です。海鮮のり巻きすし・赤飯・肉まきごぼう・酢かぶ・黒豆・煮しめ・数の子・カニ爪クリームコロッケなど全15品。5種類の煮しめの盛り付け、キャベツの千切りは「当日作業としては思ったより時間を要し遅くなった」との反省もありました。いやぁー、凝ってましたよ。

 午前8時30分からの開始は若干遅れましたが、文句を言う人は誰もいません。「暗いうちから大変だったでしょう、おいしかった」「これからもおいしいものを食べさせてくださいね」「正月らしい鮮やかな盛り付け。食べるのがもったいないくらい」などと感謝と絶賛の声が寄せられていました。おいしい給食を求めての新しい給食作りの幕が開けたと思いますが、職員には新たな挑戦状が突き付けられたのかもしれません。

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